アスベスト事前調査（アスベストサーベイ）は、建物や構造物がアスベストを含む可能性のある材料を持っているかを判断するために行われます。この調査は、専門的な知識と技術を持つ専門家によって行われ、以下のような手順で進められます：

一次スクリーニングとして書面調査（ドキュメントレビューと初期評価）：建物の設計図や建築年代、以前に行われたアスベスト調査の報告書などの文書を調査し、建物全体の概観を得ます。これにより、調査員はアスベストが使用されている可能性のある場所を事前に特定することができる場合があります。

二次スクリー二ングとして目視調査：専門家が直接建物を訪れ、疑わしい材料を視覚的に確認します。この際、書面調査や目視調査でアスベストの含有が不明な場合は「アスベスト含有するものとしてみなす」場合と「サンプリングし分析調査」を行います。。

分析調査：採取したサンプルは、アスベストを確認するための専門的な分析を行うラボに送られます。

事前調査報告：調査の結果をまとめた報告書が作成されます。この報告書には、調査の結果、アスベストが見つかった場所とその状態、必要であれば除去や管理の推奨事項が記載されます。

アスベスト事前調査は、建物の解体や改装を計画する際、または定期的な健康・安全の評価の一環として行われます。アスベストを含む可能性のある材料を取り扱う際には、アスベストの繊維が飛散する可能性がありますので、必ず専門家による調査と適切な措置が必要です。

国土交通省及び経済産業省が作成した「石綿（アスベスト）含有建材データベース」https://asbestos-database.jp/で調べることができます。ただし、すべてを掲載しているわけではないことに留意する必要があります。

アスベストの健康リスクが明らかになったことから、多くの国や地域ではアスベストの新規使用が禁止または制限されています。例えば、日本では2006年にアスベストの新規使用が全面禁止され、欧州連合（EU）では2005年から禁止されています。アメリカ合衆国では一部の製品での使用が依然として許可されていますが、多くの場合で使用は制限されています。

しかし、世界全体で見ると、一部の国や地域ではまだアスベストが使用されている場合もあります。これらの地域では、アスベストに関する規制が不十分であったり、代替材料のコストが高いなどの理由からアスベストが使用され続けていることがあります。

また、アスベストが過去に広く使用されていたため、建築物や設備、製品の中にまだアスベストが含まれている場合があります。これらのアスベストは、解体、修繕、改装などの過程で放出される可能性があり、その管理や除去は重要な課題となっています。

アスベストはその耐火性、絶縁性、化学耐性、強度などの特性から、様々な用途で使用されてきました。以下にその主な使用例を示します：

1. 建築材料：アスベストは、耐火ボード、パイプ絶縁材、吹き付け絶縁材、屋根材、壁材、フローリング材などの建築材料として広く使用されてきました。
2. 自動車部品：ブレーキパッドやクラッチプレートなどの部品にアスベストが使用されてきました。これは、アスベストが摩擦熱に強いことからです。
3. 電線の絶縁体：電線を覆う絶縁材としてもアスベストが使用されてきました。これはアスベストが電気を通さず、高温にも耐えられるからです。
4. 耐火服：消防士の服や工場労働者の保護服など、高温に対する保護が必要な環境での服にもアスベストが使用されてきました。
5. 石綿紙や石綿布：高温に対する保護や絶縁が必要な場所で使われました。

しかし、アスベストの健康リスクが明らかになったため、多くの国で新規の使用が禁止され、既存のアスベスト製品の安全な管理や除去が求められています。

アスベストはその微細な繊維が空気中に漂い、人間がこれを吸入すると肺に深く入り込み、長期的に健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。特にアスベスト関連の疾患としては肺線維症（アスベストーシス）、肺癌、胸膜中皮腫（一種の肺の癌）などが知られています。

このため、多くの国々ではアスベストの新規使用を禁止または制限し、既存のアスベストを安全に管理または除去するための規制を設けています。しかし、アスベストの健康への影響は長期間にわたるため、その対策は今後も重要な課題となっています。

アスベストは、自然界に存在する鉱物の一種で、その特徴的な繊維状の構造から石綿（せきめん）とも呼ばれます。アスベストは優れた耐火性、絶縁性、化学耐性を持ち、古くから建築材料や電線の絶縁体、ブレーキパッドなどに広く使用されてきました。

対応地域は、大阪府、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県となっております。